2010年2月17日水曜日

カルガモ走法

有料道路や高速道路でETCが採用されてからここ数年、日本人の品格を疑う最新の自動車運転法が横行している。

その名も「カルガモ走法」。

ETCカードがシステムによって認識されゲートが開いた後、対象の車が通過してからゲートバーが降りてくるまでちょっとした時間が存在する。
その、前方の車がゲートを通過してからゲートが降りるその数秒に、一緒にゲートを通過してしまおうと言うもの。
その刹那的な通過を可能とする為に、後続の車は前方車両に対して接触しそうなほどの近接車間距離を保ち、追行する。
ゲートは再び降りてくるまでに数秒の猶予がある為、結果、通過出来てしまう。

親にぴったりとついて回るカルガモの親子になぞらえてネーミングされた、いわいる無賃利用の走法だ。

この方法を利用すれば、ETCカードが利用不可能な状態やシステムを搭載していなくても、ゲートを通過する事が出来る。
ゲート通過は入場するときと退場する時の合わせて2回。
この2回、確実にカルガモ走法するだけの運転技量があれば、有料道路を無料で利用できてしまうという。

だが当然のようにこれはあくまで「利用できてしまう」だけであって、法的にはしっかりと違法。無賃乗車や詐欺と同じなのだ。

にも関わらずなぜ、横行するまでに至ってしまったのか。

もちろん、ゲートが再び閉じるまでの時間を調整すればいいのかというとそうではない。
ETCゲートを稼動させるシステムの肝となるセンサー。これに限らず、センサーというものは万能ではない。
感度が良すぎれば、たった少しの汚れやチリ、舞い散る落ち葉などで誤作動を起こし、走行中の車を通過したと勘違いを起こし、車のボンネットにチョップをお見舞いしてしまう可能性がある。
逆に感度が低すぎると、今度は車が進入してきても作動せずに、ゲートに車がめり込む形になる。
バランスが大事で、それらを均衡させる為にも、「仮にゲートが早めに閉まろうとしていても、車がなんとか通過できるだけの猶予」がどうしても必要だった。

現代の技術では、この方法の実践は不可能だ。
そもそも、違法車両をしっかりと取り締まる事が出来れば、こんな技術的問題にぶち当たることもない。
車にはナンバープレートがあり、それは国という単位でしっかりと把握されている。その車両で犯罪を起こせば、足などすぐについてしまうはずだ。

ところがそうはならなかった。
それはなぜか。

問題はゲートの監視カメラにあった。

勿論、状況確認用のカメラは全てのゲートに搭載されていたのだが、向きや解像度の問題でナンバープレートをしっかりと収める事が出来ていなかった。

殆どのカメラは、料金所に立つ人と同じような視線で見る事が出来るような位置にセッティングされている。これはゲート内を真横から見る事が出来るので、死角が生まれにくく、状況を最も把握し易いというのが理由だそうだ。

しかし通過している最中の車両を捕らえるという面においてはあまり優秀ではない。
真横に位置するカメラから車の前方に位置するナンバープレートをしっかり収める事は難しいし、出来たとしてもその文字を判別するのはさらに困難だ。残念ながらそれほどの解像度を持つ監視カメラは全国に設置できるほど安価ではない。

今回問題のカルガモ走法は前方車両に接触すれすれなほどの車間距離でゲートを通過していく。
そしてその前方車両の対象となる車は大抵大型トラックなのだ。
ゆえにカメラが真横ではなく、ゲート入り口を見渡すようにセッティングされていた場合でも、後ろにつづく車両のナンバープレートはトラックの陰になり、捕らえる事が出来なかったのだ。

その結果、違法であっても対処する事が出来なかった、という訳だ。

現在は状況打開の為に多数の策がとられ、殆どの場合は監視カメラが強化されたりして改善が図られている。

「賢いのならルールの穴をつけ」

とは言うが、そもそも人間としての品格だけは失いたくないな、と感じた。

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